エジプトとナイル
ナイルに沿ったエジプトの文化を覗いてきました。
ナイルは、南の隣国スーダンからエジプトに入り、アブシンベル~アスワン~メンフィス~カイロ~ロゼッタやアレキサンドリアと流れて地中海に届きます。
その長さは6,671キロメートル、10の国を跨ぎます。
ナイルの両岸には人々が住みますが、そこから離れれば砂漠が延々と続きます。エジプトからはじまるサハラ砂漠は、アフリカの西端にあるモロッコまで続きます。
飛行機から見るエジプトは、土色の砂漠が延々と続き、緑があるのはナイル沿いだけです。
文明は川沿いに発達するんですね。
エジプトは、紀元前3800年ころには古代エジプト文明が興き、紀元前3000年ころには統一国家になりました。
古代エジプト文明は、紀元前3000年ころからの古王国時代(ピラミッドが作られた時代、首都メンフィス)からはじまり、中王国時代(首都ルクソール)を経て、紀元前1565年ころからの新王国時代(ツタンカーメン、ラムセス二世の時代、首都ルクソール)に続き、紀元前30年(クレオパトラが亡くなりローマ帝国の属州になる)までをいいます。
神の化身とされるファラオを頂点とした神権政治が行われ、ナイルの恵による農業で繁栄しました。
今回の旅は、この古代エジプト文明と現代のエジプトの文化を覗く旅です。
延々と続く土色の砂漠。エジプトの95%は砂漠なのだそうです。
紅海に続くスエズ湾が見えてきました。スエズ運河の右側がシナイ半島、左側はアフリカ大陸です。
このシナイ半島で2015年10月乗客乗員224人全員が死亡したロシア旅客機墜落は、爆破テロといわれています。
飛行機の右の窓からスエズ運河が見えてきます。
スエズ運河に向かう何隻もの船が小さく見えます。
このスエズ運河の通行料はエジプト最大の収入源(エジプト政府スエズ運河庁運営)です。コンテナ船やタンカーなど大型船の通行料は約5000万円です。日本は一年間に400億円くらい通行料を支払っています。一隻5000万円は高いように思いますが、アフリカ大陸を回り込んでヨーロッパに行けば、燃料代、人件費、海賊などの負の要因があり、仕方のない事のようです。因みにパナマ運河の通行料は約1億円です。
エジプトの収入源の第二は、外国で働くエジプト人からの本国への送金です。
第三は観光です。その観光収入が、2011年の民主化運動「アラブの春」クーデターで、大きく減少しました。特に日本人観光客は十分の一に激減したようです。
以前には観光客を狙ったテロも起きており、街のあちらこちらに装甲車や機関銃を持った兵士や警察官を多く目にしました。検問所も多く、幹線道路、ダムや空港などの重要拠点には、装甲車と機関銃で武装した兵士や警察が通行車両を停止させて検問を行っていました。また観光バスには、スーツ姿の私服警察官(スーツの下には機関銃を携行している)が同乗するという念の入れようです。観光収入が大きく下がった事で国家財政が傾いた経験からこのような措置がとられているのでしょう。因みに観光収入が下がった分、スエズ運河の通行料が上げられたという噂もあります。エジプト政府スエズ運河庁は、通行料の値上げを一方的に突然通告するので、海運会社は対応に追われました。
私が、エジプト人に「日本にもスエズ運河が欲しい。」と伝えると、「スエズ運河よりトヨタや三菱の方がすごい。」との返事。たしかにトヨタのハイエースやランクルなどが多く走っており、その売り上げは相当なものなのでしょう。
スエズを超えると間もなくカイロです。
カイロ国際空港に着陸です。まわりの景色は土色です。
遠くに見える大型機は、アントノフAn-124 ルスラーンではないか? ソ連が開発した量産機体としては世界最大の輸送機です。
空港の建物は近代的できれいです。カイロ国際空港は、年間1400万人(成田は3400万人)の乗降客があり、アフリカ大陸第二の国際空港です。近いうちにカイロに第二の空港が日本の援助で完成するのだそうです。
カイロ市内に入ると、車と人の渦が待っています。交通ルールは、歩行者優先でも車優先でもありません。度胸優先です。一番右(右側通行)の車線から交通渋滞の列をものともせず、反対車線に強引に割り込んでいきます。考えられない強引さ。
歩行者も車の列を縫うようにひょいひょいと道路を横断します。
と思ったら、荷台に人がたくさん乗っています。ついでに牛も乗っています。トクトクは、渋滞の中を逆走していきます。
三人乗りのバイクが、ノーヘルで歩道を走っていきます。信号機はとても少なく、珍しいほどです。そのかわり多くの警察官が各交叉点に立って交通整理をしています。でも、三人乗りだろが、逆走だろうが、見向きもしません。それよりも目の前の車の渦を上手にサバクことに必死です。
とにかく人と車が多すぎます。
馬車も走っています。馬も走っています。ラクダもゆったりと歩いています。
面白い! 刺激的!
エジプトの新都市計画は、首都カイロの過密化や老朽化を受け、同市の東側に新たな首都を建設するのだそうです。
政府機関や各国大使館のほか、英ヒースロー空港をしのぐ規模の国際空港、計4万室分のホテル、2000の学校や18の病院を建設する予定です。
カイロは伝統と活気にあふれた街ですが、人口は2000万人を超え、今後さらに増加することが見通されることから、大気汚染、交通渋滞、家賃高騰、インフラの老朽化などが問題になっています。
カイロ名物の朝夕の大渋滞にあいました。前方の大渋滞に恐れをなして、バックして後ずさりする車がいたり、クラクションは鳴りやみません。
エジプトにも自動車学校があり、クラクションの鳴らし方がうまいと教官から「お前は運転の天才だ!」と褒められるのだそうです。
こんな混沌とした交通事情ですが、意外と交通事故は少ないとのことです。たしかに滞在中に交通事故は一度も見ませんでした。
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