DragStar NHRA Las Vegas 2016

ここ数年の望みであったドラックスターレースを見るためだけに今回ラスベガスを訪れました。

私は車好き、バイク好きなので、近くの鈴鹿サーキットには何度もレースを見に行きました。F1、F3000、8耐、モトクロス、トライアルなどいろいろなレースを見ました。8耐は、一番最初のレースから見ています。最初は今ほど観客はなくガラガラで無料のレースでした。

F1は鈴鹿で行われるようになってから、時々見に行っています。でも今のV6、ハブリッドになってからは興味を失いました。

理由は、まず音がいまいちで、ブルブルというなんとも刺激のない音質に、それに加えて音が小さい。V6と音量規制のせいだと思う。やはりホンダ全盛時代の多気筒、最高回転数規制なし、音量規制のない「カーン! カーン!」という音が最高です!

そんな中、年に一度、ドラッグスターレースが鈴鹿で行われました。単純で、あっという間に勝負がついてしまうこのレースに最初、興味はあまりなかった。でも車好きなので見に行ったら、いっぺんにこのレースが好きになってしまった。

まずその大迫力のエンジン音。これは体験しないとなかなか伝わらない。靴から服にまで伝わる振動に鼓膜が破れんばかりの音量。これにはたまげた。

そしてバーンアウトというタイヤを空転させて一皮剥く仕草。これがたまらない。

スタートしたらあっという間に500キロに達し、パラシュートが開く。2台で並んで走るので勝負が早く、とても分かりやすい。バイク、市販改造車、ファニーカーという見た目は市販車の殻をまとった化け物、最高はトップフューエルという見た目も中身も1万馬力の化け物まで楽しめる。

F1や8耐などの公式戦のほとんどは、ピットには入れない。一番面白そうな整備をしているところやレーシングカーを間近で見ることはできない。まして触ったり、並んで写真を撮ったりは無理なことがほとんど。

でもドラッグスターレースは、真逆なのです。ピットは入り放題で、整備をしているメカニックなどと話ができます。

こんな心躍るレースが、最近は全く日本で行われなくなりました。

それなら本場のアメリカまで行くしかあるべぇ~ と考え、友人、知人などを誘いましたが、このレースを見るためだけにアメリカまで行く人はありませんでした。そうしている内に数年がたちました。

いつまで待って仕方がないので、一人で行くことにしました。

ドラッグレースは全米を転戦しますが、日本から近い西海岸での開催をめざしました。というのも東だとアメリカを横断するので飛行機に乗っている時間が長時間となり疲れます。ニューヨークに一人旅をしたとき長かった・・・・お尻がゴワゴワ

飛行機とホテルとレンタカーだけをネット手配しました。

今回の旅では、レース場で親切な米兵と出会い、予定外だったSEMAショーも見ることができました。こんな出会いがあると心温まります。

※これはファニーカー!

全米を転戦するNHRAのドラッグレースを覗いてきました。

とにかくすごい迫力です!

鼓膜が破れるような爆音、煙を吐くタイヤ、マフラーから天に向かって吐きでる炎、4秒後には500キロ以上に達し、広がるパラシュート

このレースの魅力は、とにかく単純で分かりやすいことです。

スタート地点からゴールの400メートル地点までで勝負が決まります。あっという間です。そのすべてがスタンドに座りながら楽しめます。

これはトップフューエルです!

NHRAの開催するドラッグレースは全米を転戦しながら年間24回行われます。

2016年は10月27日から30日までの4日間ここラスベガスで行われました。この時期のラスベガスは最高気温26度、最低気温21度ととても過ごしやすく、屋外で行われるレースにはもってこいの季節です。でも日差しは強いので帽子は必須です。

レースは朝から日暮れまで休みなくず~っとやってます。日が暮れるとマフラーから炎を噴きながら疾走するドラッグスターが堪能できます。

二輪、改造車、ファニーカー、トップフューエルなどカテゴリー別に走り、最終日は決勝戦です。

トップフューエルは一番速い車です。

このエンジンはOHVなので驚きます。日本の軽自動車でもDOHCの時代です。

トップフューエルはヘミエンジンが多いようで、エンジンにHEMIという文字が刻まれていました。

伝説のエンジンです・・・・・

とても古い構造のプッシュロッド、シングルカム、OHVエンジンです。排気量8.2リッター、V8、スーパーチャージャー付きです。燃料のニトロメタンを入れて8000馬力とも10000馬力と言われています。(レースの世界では公表されない)

それにオートマというか変速機がないらしい・・・

それにエンジンブロックに水が通る穴はありません。冷却水はないのであまり長時間エンジンは回しません。ゴールラインを切ったらすぐにエンジンは停止です。スタートから400メートルを3.9秒くらいで走ります。最高速は520km/hに達します。

一回走る度にエンジンをバラシ、ピストン、エンジンオイル、タイヤ、クラッチ板などを交換します。いくらお金があっても足りません。

バーンアウトは、タイヤの皮むきです。毎レースごとに新品のタイヤに変えるので、走る前に水をまいたスタート地点手前でタイヤを空転させながら少し走ります。猛烈な煙とエンジン音がお決まりの儀式になっています。タイヤを温めてグリップをあげます。その仕草が私には「すごい俺様のお出ましだ!」と見栄を切っているように思えます。

レース中は、時々コースのメンテナンスが行われます。給水車で水をまき、道路補修車が走り回ります。

カテゴリーの変わり目には、少し休憩があり、その間にバイクの曲乗りがあったりウイリーのまま走る車が出てきたりと楽しめます。

売り子から買ったビールを飲みながら、夕暮れまでレースを楽しむことができます。

10月のラスベガスは、このレースのほかに全米最大の自動車ショーSEMAとネリス空軍基地エアショー(ネリス空軍基地はドラッグスターレース場のすぐ近くにあり、レース中も発着する戦闘機が見えました)が行われます。今回はこのドラッグスターレースとSEMAショーに行きました。モータースポーツ好き、飛行機好きにはたまりません。

【参考】一般的なクルマは、0-100km/hは10秒以上、5秒以下ならかなり速いです。市販車最速部門では、日産GT-Rが0-100km/hで3秒位。ポルシェ918スパイダーの特別仕様で0-100km/hが2.6秒、0-200km/hまでが7.2秒です。F1の歴代最強マシンと思われるマクラーレンホンダMP4-4(推定1000馬力)を日本のカーグラフィック編集部が鈴鹿で実測したことがありました。0-100km/hが2秒、0-200km/hでは4秒位だったと思います。トップフューエルは、理論上0-100km/hまでは1秒以下ということになります。


TOP FUEL DRAGSTAR NHRA LAS VEGAS  2009  You-Tube


鼓膜がやぶれるほどの爆音なので、耳栓は必須です。

メインスタンド下はこのようにトイレとホットドッグや飲み物のスタンドがたくさん並んでいます。

世界の細道

楽しく苦しい三昧の世界を覗きます。楽しいだけでもダメ、苦しいだけでもダメ。歩く世界は旅、くるま、バイク、グライダー、Jazz